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個展に寄せて

 


                      内田 園生  美術評論家連盟会員。元駐ヴァチカン特命全権大使

 三十数年来ローマ画を描き続けていて、イタリアでも数々の賞を受けている江花さんの、二年振りの個展である。 体調必ずしも芳しくない時期もあったというが、そのような悪条件を乗り越えての制作であるためもあり、複製で見ても、今回の展示作品には、一段と深みのある精神性の高いものが多い。

 江花さんとローマで初めて会ったのは、二十年程前ローマでのことであった。私が占領中米国のTCU大学院で美術史を学び、帰国後ローランの「セザンヌの構図」を邦訳出版していた処、「韋編三度絶つ」どころか二冊目まで求めて熟読したと聞いた時、今日の江花芸術に、音楽的・浪漫的ムードと共に厳格な骨組みがあることも宣なるかなと思った。特に Andando alla messa には、宗教的な荘厳ささえ感じた。今まで以上に楽しみな個展である。

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